ハル[하루]

私たちハルは、現在まで継続する「日本の植民地支配による民族自決・人権の否定」を回復し、歴史を記憶しながら日本と韓国(朝鮮半島)のこれからについて考え、語り合い、行動するためのグループです。このブログではそんなハルの活動報告やお知らせを発信していきます!

ハル定例MTGの記録(2021年4月)

こんにちは、ブログ班のきのこです。4月の全体ミーティングの記録をブログに投稿するのに世の中もう7月です。怠惰なきのこをお赦しください…(笑)

 

さて、4月のミーティングの流れはこんな感じでした。その時トレンドだった内容が盛り沢山でしたが、世の中もう7月です(2回目)

 

 

セウォル号事件について

ミーティングに人が集まってくるまでの間にいつも恒例のきりんさんの豆知識(?)コーナー!!実はきのこが密かに楽しみにしているこのコーナー、今回はセウォル号事件についてでした。ミーティングは17日に行われましたが、セウォル号事件が起こったのは2014年の4月16日なので、記念日の翌日でした。

 

事件当時きりんさんは学生らと同い年で、とても他人事とは思えなかったそうです。記憶のためのシンボルとして黄色いリボンが使われていることも教えていただきました。

 

あなたにとってセウォル号事件はどのような記憶ですか?正直に白状すると、きのこは当時あまり関心を持っていませんでした。高校生の最後の方にふと耳にしたBTSのSpring Dayをきっかけに少し調べましたが、それでもあまり深く考えようという姿勢を持ったことはありませんでした。

 

セウォル号の事件から私たちが考えられることはとてもたくさんあります。政治のこと、教育のこと、若者を取り巻く複雑な権力のこと…。決してそれは対岸の火事ではなく、学生時代を経験した全ての人間に共通する重い「宿題」なのではないでしょうか。

 

ラムザイヤー論文に関する報告

さて、話は変わって今年の新春の時期を騒がせたラムザイヤー論文に関して、まるこさんが行ったメディア研究をテーマに報告してくれました。

 

まず、韓国国内の報道について。韓国では保守メディアによる報道が多く、ハンギョレや京郷新聞は進歩派メディアにも関わらず報道件数が少なかったそうです。その報道内容に関しては両者とも大きな差異はなく、報道合戦は日本の産経新聞を皮切りにアメリカ、中国、ヨーロッパへと拡がっていきました。

 

一方日本のメディアでは全体的に報道が少なく、神奈川新聞などの地方紙では熱心に取り上げているところもありました。全国紙よりも地方紙の方が記事化しやすかったということも考えられるのではないか、ということでした。

 

さて、このように日本と韓国で報道件数に大きな差がありますが、なぜ日本では取り上げられにくかったのでしょうか。ラムザイヤー論文はアメリカで発表された英語論文ということで注目を集めましたが、ゲーム理論を用いた「性行為契約」であるという主張自体は新規性がなく、「慰安婦は商行為」という右翼的主張が拡散されている日本社会ではあまり注目されなかったのではないか、とまるこさんは結論づけています。

 

これに対して行われた議論としては、韓国メディアにもラムザイヤー擁護派について触れないなどの報道内容の取捨選択が行われていたことへの指摘や、注目を集めた理由の考察としてラムザイヤーのアメリカ人としての「看板」が大きかったのか、という意見も出ました。また、ハンギョレなどの進歩派メディアがあまり報道しなかったことへの驚きの声もありました。

 

・キボタネ証言を読むワークショップに関する報告

続いて3月度の参加イベント、キボタネ証言を読むワークショップに関する報告です。報告担当は茶々丸さんでした。イベントの内容の紹介についてはここでは省きますので、キボタネのホームページからご覧ください!(https://www.kibotane.org/post/kibotane-ws-for-beginners-証言を読む-vol-8-vol-9

 

みなさんは証言集を読んだことがありますか?例によって怠惰なきのこは大学生になるまで読んだことがありませんでした。初めて読んだ時の衝撃は忘れられません。日本軍性奴隷制度はカコのレキシではなく、一人の女性の人生のなかに影を落とす経験なのだと実感しました。証言集を音読することでその経験を自分自身の人生と繋ぐことができました。

 

特に注意しなければいけないのは、将校との疑似恋愛の記憶や「日本も悪いけれど、その手先をした朝鮮人はもっと憎い。〔中略〕韓国政府も私たちに補償してくれなければなりません。」という発言は理解の乏しい人が読むと誤解を生じさせる危険があるということです。構造的な問題性、すなわち植民地という状況や日本人男性と朝鮮人女性という権力関係を認識しなければこれらの証言の背後にあるサバイバーたちの声を聞くことはできません。

 

・読書会の記録−康誠賢『歴史否定とポスト真実の時代−日韓「合作」の「反日種族主義」現象』

今回の読書会担当は丸メガネさんでした。今回の文献は康誠賢先生の『歴史否定とポスト真実の時代−日韓「合作」の「反日種族主義」現象』です。

http://www.otsukishoten.co.jp/book/b547850.html

 

この本はきのこも大学のゼミで輪読しました。「ポスト真実の時代」においてヘイトと戦っていくにはどうしたらいいのか、という疑問を全体で議論しました。

 

表現の自由」の問題は表現の不自由展の話題がホットですが、とても深い問題です。「表現の自由」が別の誰かの「表現の自由」を奪っている可能性を常に考えなければいけません。また、歴史否定は決して「表現の自由」ではありません。

(表現の不自由展については6月のMTG記録も合わせてお読みください!)

 

krharujp.hatenablog.com

 

 

ガヤトリ・スピヴァクサバルタンの議論が思い出されます。サバルタンとは語る言葉を持たない人々のこと。「表現の自由」によって矮小化される被害は表現することの困難な人の声を完全に封じてしまします。

 

歴史を学問している学生としては、歴史否定が罷り通る社会は反知性主義でアカデミズムを否定する社会だと感じます。誰もがインターネットを駆使し、「歴史好き」を標榜できる時代だからこそ、 アカデミズムの真価が問われているのではないでしょうか。

 

・来月の予定について

来月の、といっても世の中もう7月です(3回目)

5月は全体で参加するイベントは設けず、メンバーのインタビューを進めようということになっていました。

 

それでは、また!!