ハル[하루]

私たちハルは、現在まで継続する「日本の植民地支配による民族自決・人権の否定」を回復し、歴史を記憶しながら日本と韓国(朝鮮半島)のこれからについて考え、語り合い、行動するためのグループです。このブログではそんなハルの活動報告やお知らせを発信していきます!

ハル定例MTGの記録(2021年5月)

こんにちは、ハルのブログ担当、丸メガネです!

今回は、2021年5月15日におこなわれたハルの定例MTGの記録です。

5月MTGは、特にやることを決めずに、メンバーが最近、「日韓」にまつわることで悩んでいることを話し合う「お悩み相談会」をしました。

今回話したことは、こんな感じです!

 

 

きりんさんの豆知識

「お悩み相談」の前に...まずは、きりんさんからMTGのおこなわれた5月15日にかかわる豆知識の紹介がありました!

きりんさんによると、韓国では5月15日は「先生の日」といって、小中高で生徒がお世話になっている先生にサプライズで感謝を伝える日なのだそう。先生にプレゼントやカーネーションを渡したりするそうです。

ただ、そういった「先生の日」に関して、なんと2015年に「キム・ヨンラン法」という在学中に生徒が私的に先生にプレゼントを渡すことを禁止する法律ができてしまったそうです。

というのも、年々生徒から先生に対するプレゼントが大きなものになっていたり、生徒の成績評価などに影響しかねないからだそう。

卒業後に先生に何か贈り物をするといったことは大丈夫らしいのですが、日本にはそもそもこういった「先生の日」みたいな日がないような気がするので、面白かったです!

 

「お悩み相談会」

最初の方でも書いた通り、今回のMTGではメンバーが最近、歴史や差別について悩んでいることを相談し合いました。というのも、以前のMTGでのフリートークの時間に、まわりの人の差別発言に対する対応などで悩んでいるという相談があって、ぜひそうしたことをみんなで話そうとなったのです。

今回の記録では、座談会のような形で話し合いを簡略に紹介したいと思います!

身近な人との認識の違い

うさぎ:大事な人と認識違う時に辛い。どうしたらいいのか...。

ぶーちゃん:そういう人たちとは避ける。一人でやっていくのは大変。

茶々丸家族(父)が百田尚樹の『反日種族主義』『日本国紀』とかの右寄りな本を読んでいた。他にも、友達にフェミニズムに関心があると言ったら、「そんなの意味ない」「危なくない?」と言われる。みんなどうしてる?

りんご:バイト先とかでは、自分からジェンダー論、フェミニズム勉強しているということを話しちゃう。自分と近い人とは、バチバチ議論して、喧嘩してダメだったらお別れ。父親とは諦めて何も離さない。

関係性の浅い人の差別的な発言にはどうしたらいいのか

フレディ:家族とか身近な人には恵まれてた。でも、関係性が浅い周りの人(差別のことがわかっていない人)が差別的な発言をした時など、どうしたらいいか。こういう身の回りの差別を指摘できないのに、大きな構造なんか変えられないんじゃないかという自責の念が起きてしまう。バイト先の人の「差別する人がいるのはしょうがないよね」という言葉にショック...。

うさぎ:自分も家族だけじゃなくて、関係性の浅い人たちに言えない自分にイライラ・モヤモヤしてたけど、自分が悪いんじゃないと思いたい。「それってダメじゃないですか」って言ってダメだった時にショックだから、自分が言ってもだめそうな人には諦める。自分を責めないでほしい。

丸メガネ:自分が悪いんじゃなくて、その時の権力関係や構造の問題。笑わないとかはまずできることとしてあるけど、差別への指摘は立場の関係とかですぐにはできなかったりすることもある。だからこそ、ルール作りが重要。たとえば、バイト先で差別禁止のルールがあったり、差別を報告できるような制度があれば、その場では差別に指摘できなくてもあとから第三者に報告するとかできる。ある意味では、そういうルールがないから、個人の努力だったり、個人が完璧な人間になることが求められてしまう。でもそれは、自責の念が起こりやすくて、自己責任論とも結びつきやすい。ルールをつくるためにどうしたらいいのかは考えなくちゃいけないけど...。

フレディ:自罰的に思っちゃう傾向があるから、自分を対極的にとらえられるようにしたい。

ハナ:話を聞く人と聞かない人はなんとなくわかるから、聞いてくれそうな人には小出しにして話す。特に大事な人には。母親には自分が女性として譲れないものがあるということに、もしかしたら共感してくれるかもしれない。自分の学んでることを話すことに少し勇気出た。

もみじ:大学のアルバイトの店長がレイシストだったし、大学時代の友人とは価値観合わなかった。本を渡したことある。知識を得ると価値観が変わるから。それでもダメなら、仕方ないと諦める。賛同だけはしないように。

まるこ:あまりそういう経験はない。家族も友人もある程度は理解してくれていた。少し楽観的に、就活でも自分のやってたことを書いた。あまり言えない自分を責めなくてもいい。練習あるのみ。

きりん:韓国人の日本専攻で、日本に憧れている人だから、韓国を悪く言っても理解してくれるだろうという人もいる。今はできるだけ避けている。フェミニズムや歴史の問題。避けてもいいし、それが悪いわけではないし。留学中は守られた環境、留学後の交流会などがレイシストがいて辛かった。当時は嫌だったけれど、今考えるとよかった面もある。留学中はゼミで勉強していたけど行動に移せなかった。留学後にはショックを受けたけど、それがきっかけで行動(セミナーの参加、キボタネプロジェクト)ができた。相手が言ってることがなぜ悪くて、自分が考えてることがなぜ正しいのか自分の中で説明できることが大事。

ハナ:もともと自分に保守的な部分があった。学んだり、指摘してもらったりする中で落ち込むこともあるけど、周りの環境のせいで自分の考え方が制限されることもある。相手が保守的であってもいったん話を聞く。なんでそう思うんですか?とか話を聞く。理解してくれる人は理解してくれる。

ネトウヨからの攻撃が怖くて...

きのこ:いま学部3年で進路に悩んでる。もともとは研究職につきたかった。ただ研究者とかが右翼からの攻撃を受けている現状を見て、自分が右翼からの攻撃に耐えられるか不安になった。仕事じゃなくても攻撃を受けることに恐怖心がある。その恐怖心さえ克服できればいいのに。

ハナ:擁護してくれてる研究者の人もいるはず。仲間はいるはず。攻撃の対象になるかもしれないけど、同時に仲間も増える。

ぶーちゃん:論破してきたがる人は多い。自分が日韓の問題に携わってきてから出会う人たちは同じ土俵に立たないようにしてる。SNSとか顔も名前も出さないようにしている。自分自身はもう失うものがないみたいな感じがある。自分が間違ったことしてないという思いもあるから。でも家族や友人などに影響が及んだら考えもの。住所特定されたらそれは犯罪だから法的処置を取ろうと思ってる。

りんご:実際、誹謗中傷を受けたことがないからかもだけど、あんまり顔も見えない人の言葉は何も感じない。でも、奨学金の面接で自分の研究領域を言ったら、人前では言わない方がいいかもと言われた。

丸メガネ:きのこさんは、どういう被害を想定してる?

きのこ:ネトウヨの言ってることは気にしなくていいというのはわかるけど、受け流せるかわからない。それに、最近彼女の父にも自分の学んでいる朝鮮史について嫌味を言われた。彼女が一度できたら、基本的には結婚すると思ってるんだけど、結婚を認めないと言われたらどうしよう。彼女と結婚するときは自分の方の苗字を彼女の苗字に合わせようかと思っているけど、彼女のお父さんに自分の苗字を変えることを拒否されたらどうしよう。正しいことをしてるんだという信念があっても不安。

ハナ:相手に伝えたことある?

きのこ:ゼミの指導教員の先生の授業を彼女と一緒に受けたんだけど、ふと見えた相手のレポートが「安倍さんのおかげで教科書から「慰安婦」記述が消えた」というものでショックだった。寛容論。そういう考え方もあるよね、みたいな。付き合うからには価値観合わせたいけど、諦めてしまった。

ハナ:そんな簡単な話じゃないから難しい...。

MTGを終えて

今回、丸メガネは途中で退出してしまったので、議論も途中までの参加だったのですが、お悩み相談はなかなか難しいけれど大事な話し合いだったなと思います。

とにかく、こうした「日韓」の歴史や差別に関する問題意識を持っていると、孤独になりがち。まわりの人からの理解も得づらい。そういうなかでこういう、ハルのメンバーどうしで悩みを共有し合うこと自体が、直接的な解決策をみつけることには至らなくても、大事だなぁと思います!

でも、改めて思うのは、こういう問題意識を持っている個人が辛くなってしまう問題は、決して個人の問題ではなく、社会の、構造の問題だということ。もし、差別禁止ルールがあったり、日本社会にまとも歴史認識があれば、こういう悩みはあまり起きないんじゃないかなと思います。だからこそ、差別が禁止されなくちゃいけないなんてことは人間として当たり前のことなんだ、というような社会規範をみんなで作っていかなくちゃいけないんだと思います。

次回のMTGは6月19日!

ひとまず都合が合う人は、6月11日におこなわれる鄭栄桓先生の講演に参加して、感想を話しあうことになっています。

www.meijigakuin.ac.jp

それでは、今回はこの辺で!

 

※参加したメンバーの感想

きのこ:お悩み相談のコーナー、僕のとても個人的な話に終始してしまい申し訳ありません。フレディさんの恐怖心を抱きながら前進するしかないという話に心を打たれました。未だ攻撃や批判に対して怖いという意識はありますが、その恐怖心すらいつか経験として自分の語りを助けてくれるのかなと思います。また何かあったら相談させてください!!

ひよこ:人のお悩み相談は、自分の悩みにもどこか繋がっている点があり、新たな視点を得るためにも役立つと感じました。読書会は対象を広げるとのことで、みなさんがより気安く参加できるようになると思います。

ぶーちゃん:韓国のまめ知識、すごく良かったです!しらなかった〜 悩み相談、すごく深刻で真剣でしたね。日韓問題に関わることがハードルになることって、研究職だけじゃなくて、運動の継承としても大打撃ですよね。そんな日本社会の”空気”を壊さないといけないと思う。

フレディ:今日の相談会で皆さんと悩みを共有できて、かなり心が軽くなりました。メンバーの皆さんは日韓のこと、差別だけでなく、ジェンダーに対しても問題意識を持っている方が多いので、今後も関心を共有できたらと思います。

ハナ:皆さん同様の悩みを抱えているということが知れてよかったです。答えがない問題ばかりですが、話せる人がいるだけでも楽になると思うので、お悩み相談会はまたやってほしいです!最初の韓国豆知識とても楽しかったです、負担にならなければ、もっといろいろ知りたいです。

まるこ:自分自身恵まれた環境で育っており、理解ある人達に囲まれているので、みなさんの悩みにきちんと応えれなかったのが心残りだ。うまく話せなかったが、今後周りに伝えていきたいのなら、それには「話す」という訓練が必要なんだろうと思った。たとえ話せなかったり、意見を伝えることができなくても自分の責任ではないから責めないでほしいし、今取り組んでいることを自慢に思ってほしい。改めて今の自分がいい環境にいることを確認できたいい機会だった。

うさぎ:今日のミーティングでよかった点→お悩み相談室は、自分の参考になると同時に、他の人がどのような問題意識や境遇なのかを知ることができて良い時間だった。/改善が必要だと思った点→ビデオオフだと、表情が見えないので少しやりづらかった。お悩み相談室で、自分が話したことが、相手(発表者)にどう受け取られているかがわからなかったため。/感想→自分が社会人で日韓関係やフェミニズムジェンダーなどの話から遠ざかっていたことがあり、良い刺激になった。難しい用語などを使わなくても、モヤモヤを感じたことについてこのように話せる場所はとても大事だと思った。