ハル[하루]

私たちハルは、現在まで継続する「日本の植民地支配による民族自決・人権の否定」を回復し、歴史を記憶しながら日本と韓国(朝鮮半島)のこれからについて考え、語り合い、行動するためのグループです。このブログではそんなハルの活動報告やお知らせを発信していきます!

ハル定例MTGの記録(2022年7月)

はじめまして、ブログ担当のるーです!
今回は、2022年7月に行ったミーティング内容を紹介いたします


目次

 

 

みんなで行ってみようの会


今回のミーティングの担当はノグリさんでした。ノグリさんは、韓国で「植民地の記憶の場所にみんなで行ってみよう会」(以下、みん会の)代表として活動しており、今月はみん会での活動を紹介していただきました。


みん会とは、どのような団体なのでしょうか


正式名称「植民地の記憶の場所にみんなで行ってみよう会」(略してみん会)は、2019年3月にソウルで結成した日韓学生会です。日韓学生が共に植民地の歴史の記憶の場所に足を運び、感想を共有する活動を行っています。当初「日本人1人だと心細くていけないところに行ってみよう」をモットーに結成されましたが、現在は日本人学生の他に、多くの韓国人学生が参加しています。
みん会はソウルを中心に活動しており、主にソウル・京畿道にある日本の植民地時代に関する場所やセミナーに足を運びます。私たちは、”その場に足を運ぶ”という体験作りに活動の重心を置いており、みん会は既存の討論会や勉強会とは全く性格の異なる活動です。そのため、日韓の歴史について全く知識がない方でも、楽しみながら学べる内容となっています。


「植民地の記憶の場所にみんなで行ってみよう会」

minkai.hatenablog.com

,最終閲覧日2022/09/18


このように、日本語が可能であれば誰でも参加可能という条件のもと、植民地や民主化運動の遺跡を訪ねる活動を行っています。
続いて、2020 年夏休み特別企画として 8 月 15 日の光復節に合わせて開催された、2 泊 3日の群山・光州・木浦近現代史ツアーの内容の紹介に進みました。ツアーの詳細はみん会のブログに掲載されているので、ぜひご覧ください。ハルのブログでは、郡山の日本式家屋 (적산가옥:敵産家屋)を巡るメンバー間の意見交換を取り上げます。
郡山や木浦は、日本人の便宜上の理由で発展した土地・地域であり、日本人家屋が今でも多く残っていることで知られています。植民地化をきっかけに中心地が移動した事例は多々あり、ソウルでは、元々発展していた景福宮があったから明洞へ。釜山でも、北部に位置する東莱(동래)が衰退して、海岸沿いへと中心が移りました。
特に、解放後の郡山では、日本人がいなくなったことで街が衰退してしまったため、日本式家屋を活用することで観光客を集客しようとする試みが生じています。郡山市全体で日本式家屋を新しく建築し、『日本人が住んでいた町』というアピールをすることで、実際に若い世代を中心に観光客が増え、市としては収入の増加を評価している一方で、元々は存在していなかったものを新たに建設してまで、日本人の集住を強調することに疑念の声も上がっています。
また、ソウル市内にある「植民地歴史博物館」についての話に移ったのですが、こちらはメンバーの中にも訪問の経験がある人が多い印象でした。
「植民地歴史博物館」は、政府の援助なしに、民間資金のみを用いて、植民地支配の歴史全体を知ることのできる博物館として、民族問題研究所により2018年に設置された博物館です。1945年以降、植民地期に対日協力をしていた朝鮮人(いわゆる「親日派」)を処罰しようという親日清算の動きが生じていたにもかかわらず、南北の対立構造のもとで曖昧になり、むしろ親日派が今もなお権力を維持しているという現状があります。こうした問題意識から、「親日人名辞典」というカードを作ったのが李離和(이이화, 慶尚北道大邱出身, 1937-)さんを中心とした民族問題研究所でした。江華島事件から日韓を横断して取り組まれている日本軍 「慰安婦」問題の闘争の歴史まで、植民地支配によって生じた問題に幅広くアプローチして いる点で特徴的であり、みん会の参加者たちからも「朝鮮半島が経験した近現代の歴史を全体的に知ることができ、勉強になった」という声があったといいます。


 
足を運ぶべき場所


その後は、質疑応答や感想の共有に移りました。この夏に韓国を訪れるメンバーが複数いたことからも、韓国内で足を運ぶべき場所という話題になり、韓国内では郡山に残る性売買施設の跡地、仁川のチャイナタウン、移民史博物館などがあがりました。
逆に日本ではどこがあるだろうか、という問いによって、まるこさんが大阪・鶴橋をあげ、やはり独特な雰囲気があり、飛び交う韓国語も韓国の言葉とは異なり、この土地で発展してきたのだと感じられたと話していました。また、在日朝鮮人の方が管理している強制連行の遺跡が京都の山奥に残っており、トンネル内は夏なのにかなり寒かったそうです。また、東京・千代田区にある遊就館についても意見が飛び交いました。きりんさんは、日本の大学生と日韓の遺跡をめぐるイベントに参加し、靖国神社遊就館を訪問したものの気分が悪くなったという経験を話していました。幼い子どもと一緒に家族ずれで訪問する人や、変わった韓国人もいたりするそうです。くぼみさんも、大学のゼミで遊就館に行ったものの、いろいろな立場や思想をもつ人が集まっているため、そこで飛び交う言葉に思いがけず傷つくこともあるかもしれないということ、また学習する素材として遊就館があることの意味について問題を投げかけていました。
それから、りんごさんは近々朝鮮学校見学にも参加されるとのことでした。くぼみさんは、 授業参観・文化祭のような日に行ったことがあるけど、すごく楽しかったと話しており、親がお酒飲んでいたり、子どもの応援をしていたりと、朝鮮学校が彼らにとって日常の一環であることを再認識したそうです。


 
手話から手語へ


続いて、きりんさんは植民地支配の話とは変わるけれど、という前置きとともに韓国手話について紹介してくれました。明晴学院という日本唯一の私立ろう学校は、手話だけの教育をしており、幼稚園の子どもたちもいきいきと手話で話していたり、その実践から学ぶことが多くあったそうです。また2016年に施行された「韓国手話言語法」により、韓国手話は韓国語と同等の資格をもつと示され、韓国のろう者の歴史の中で革新的な出来事であったこと、そして一つの言語という意味から「手語」という名称に変更されたことを話していました。
くぼみさんも、手話は動物的であるという理由で、口を読む教育が一時期流行ったが、そのせいで、自己内言語を育てることがおろそかにされていたという経緯があり、その反省を踏まえ、子どもたちが解放された様子で自分の言語として手話を獲得している姿がとても感動的であったと言っていました。
障がいをもつ人々を扱ったコンテンツとして、くぼみさんが、障がい児運動や手話との出会いを漫画で描いている「山本おさむ」を紹介し、彼の作品を通じて、人によって手話をする際の手の動きが違って、そのことで表現できるもの・味わえるものがあるんだなと知ったそうです。また、きりんさんが、韓国内では老若男女問わずみんな見ているという「ウ・ヨ ンウ弁護士は天才肌(이상한 변호사 우영우)」を挙げ、性差別や開発事業など現代社会の様々な問題を取り上げていることを話していました。ノグリさんは、脳性麻痺があり発話や歩行が困難である女性と、前科のある男性を描いた「オアシス」という映画があげ、この映画以前には、障がいをもつ人々が移動するための手段がなかったという問題を指摘していました。

 

では8月のミーティングの記録も楽しみにしてください!