ハル[하루]

私たちハルは、現在まで継続する「日本の植民地支配による民族自決・人権の否定」を回復し、歴史を記憶しながら日本と韓国(朝鮮半島)のこれからについて考え、語り合い、行動するためのグループです。このブログではそんなハルの活動報告やお知らせを発信していきます!

初の対面MTG in 韓国(2022年9月)

こんにちは、サスンです。9月下旬、ハルが発足してから初めて、対面ミーティングを実施しました。韓国にいるメンバーが増えたため、対面開催ができました。みんなで食事しながら、時に脱線しながら、真剣に話すことができるのは、対面ならではの魅力ですね。簡単に話した内容を報告します。

 

在日朝鮮人ドキュメンタリー映画

 

在日朝鮮人が通う朝鮮学校を取り扱ったドキュメンタリーを上映した映画祭がソウルの新村で開催されました。ハルのメンバーも4人ほど映画を観に行きました。中には、映画祭のボランティアスタッフとして参加した人もいます。

 

映画の多くが、在日朝鮮人が置かれている差別の現状を映し出すとともに、民族のアイデンティティを育む場としての朝鮮学校の温もりを映し出す名作ばかりでした。在日朝鮮人、そして韓国人監督による作品が上映されました。ラグビー部、ボクシング部といった朝鮮学校の日常から、4.24 阪神教育闘争などの歴史を扱ったものまでたくさんあるので、興味のある方はぜひ観てみてください。

 

一方で、ハルのメンバーが違和感を抱くポイントもありました。これは映画祭後の打ち上げで話したことを、対面ミーティングで振り返ったものです。

 

きりんさんは、映画祭で開催されたトークショーで、男性監督しかいなかったことにモヤモヤしていました。また、体育会部活動に焦点を当てる作品の場合、作品から女性が排除されていました。トークショー同様にジェンダー的な課題があるなと思います。

 

そして、映画では朝鮮学校の無償化裁判が描かれており、それが象徴的なシーンになっていることにも触れました。無償化裁判が敗訴という結果に終わった後、いかにこの問題について、映画を通して伝えていくのかについて、意見交換していました。

 

(※以下、一部不適切な発言を引用しています。ご注意ください。)

すると打ち上げにいたある男性が、社会問題を扱う映画には「エンタメ性が必要」という文脈で「慰安婦の女性と日本軍人の愛を描くのはどうか」と当然言い出しました。この話をハルのメンバーに共有すること自体憚られます。

日本軍「慰安婦」サバイバーの証言の中に、軍人と恋をしたという話があったとしても、それが極端な性奴隷の状態で、誰にも頼れずそのような感情を持ってしまったという脈絡を理解しないといけません。

 

その大前提をメンバー間で改めて共有しました。

 

韓国社会を大きな主語で語る危うさ

 

ハルのミーティングを対面で開催できたのは、韓国で留学生活を始めた学生が増えたからです。まだ1ヶ月程度しか生活していない人から、何年も生活している人まで、様々にいます。ここで、一度立ち止まって、日本人として韓国社会で生活するときの姿勢を振り返ってみました。

 

ノグリさんは、対面ミーティングに参加したメンバーの中で、一番韓国生活が長いです。留学生活を始めた前後は、ろうそくデモが広がりを見せている時で、日本での報道のされ方は酷かったです。ろうそくデモを「韓国で暴動が起きている」というような論調で伝え、留学が怖くなったとか。

 

また「韓国は性暴力が多いから気をつけて」とか、急発進する車を見て「これだから韓国は」と言う日本人の姿にノグリさんは違和感を覚えます。それらは日本でも存在し、韓国特有の話ではありません。

 

留学や仕事を通して韓国に滞在して、自国と比較したくなる気持ちも分かりますが、時にそれは慎重である必要があります。なぜなら、特に日本人の場合は、過去の植民地支配の反省を全く踏まえていないからです。「これだから韓国は」という発言の裏には、自国(日本)が上で、韓国は下だという意識が読み取れます。これは、過去に朝鮮半島を植民地支配した考え方と、ほとんど同じだと筆者は思います。

 

歴史に向き合うきっかけ

 

前述したような植民地支配の歴史を踏まえず、大きな主語で韓国を語るような過ちを、私たちもしてしまっているかもしれないです。しかし、これまでに歴史に向き合うようになるきっかけがあったからこそ、今ハルに在籍しているのです。そんな自分の原点をそれぞれが話しました。

 

ノグリさんの場合は、韓国の現代史を学んでいくにつれて、自分も植民地主義の当事者の一人なのだと気付きました。もちさんは、日韓交流の日程の中で、慰安婦問題について、日本政府の立場をなぞる無知な発言をしていました。しかし、友達と西大門刑務所を訪れた後、サムルノリの美しい演奏を聞いてはっとします。「自分たち(日本)はこういうもの(美しい文化)を無くそうとしていたのだな」と気づいたのです。

ゆずさんは、小学生の時からK-POPが好きでしたが、反韓家庭で育ちます。留学も応援してくれなかったし、民族差別的発言も耳にしたそうです。しかし、ゆずさんは「これは違うだろ」と思い続けていました。そんな時、お世話になった先生が朝鮮半島にルーツのあることを知りました。今では、韓国人学生の考え方にも触れ、日本軍「慰安婦」問題に取り組むサークル活動など、充実した学びとなっていることを報告してくれました。ぞうさんは、学部生の時の訪朝経験が転機となって、在日社会、そして朝鮮半島と日本にまたがる親族研究へと進みます。

 

各々の原点となる経験や想いを共有する貴重な機会となりました。二次会はカラオケに行き、大盛り上がり。対面活動も今後徐々に増やしていく予定です。ブログでの活動報告を楽しみにしていてください。