ハル[하루]

私たちハルは、現在まで継続する「日本の植民地支配による民族自決・人権の否定」を回復し、歴史を記憶しながら日本と韓国(朝鮮半島)のこれからについて考え、語り合い、行動するためのグループです。このブログではそんなハルの活動報告やお知らせを発信していきます!

ハル定例MTGの記録(2021年6月)

こんにちは、ハルのブログ担当、フレディです。

今回は、2021年6月に行なわれたハルの定例MTGの内容をまとめたいと思います。

 

 

ブログのロゴ決定案

ハルのロゴはイラストが上手なメンバーが描いたもので、(2月のブログでも触れられています)これまで細かい部分は仮決定というかたちでしたが、今回ついにロゴが正式に決定しました。

 

明るい緑だったロゴの色を落ち着いた緑色に変更し、ハングル表記のハルだけでなく、カタカナでもハルと表記しました。今後ハルの活動を続けていくにあたって、このロゴを使ったグッズ(ステッカーやバッジなど)を作ることも検討しています。

 

発表の順番決め

ハルの定例MTGでは、毎回メンバーが発表をすることが決まっています。

今回は数か月後まで発表者を決めました。

7月 丸メガネさんとぶーちゃんが参加する予定の「表現の不自由展」の報告

8月 フレディの発表

9月 きりんさんの卒業論文についての発表

 

きりんさんはジュディス・ハーマンの「トラウマ理論」を援用し、1995年の姜徳景、金順徳ハルモニの絵の展示について卒業論文を書いたそうです。当時も運営への脅迫があり、その際も「展示できるかわからない」という状況になりました。これは現在開催が予定されている「表現の不自由展」への抗議にも通底する問題があるのではないでしょうか。

 

ブログチームのメンバー募集

ハルのブログメンバーはこれまで4名でしたが、ローテーションの問題もあるため、ブログメンバーを募集しました。実は私フレディも今回からの参加です。

 

6月DHC本社前抗議デモの様子

化粧品会社DHCが在日コリアンへのヘイトスピーチを公式サイトに掲載したことを受けて、6月3日にDHC本社前で抗議デモが行われました。ハルからは丸メガネさんとぶーちゃんが参加し、合計130人ほどがサイレントでの抗議を行いました。ぶーちゃんは帰宅するDHC社員に向けてビラを配る予定でしたが、デモの時間中に社員さんは出てこなかったようです。

 

問題となった文書は削除されましたが、依然として差別をあおったことについての謝罪などはありません。DHCは様々な事業展開をしているため、地方自治体との提携も多いですが、今回のことを受け、地方自治体がその提携を切る動きを見せています。今後もDHCやそれに関わる企業、自治体の動向に注目する必要があると考えます。

 

もみじさんのお悩み

勤務している会社から産経新聞を読むことを推奨されているもみじさん。しかし、中国や韓国を蔑視した内容のものが多く、差別的な感情をあおるような報道に嫌気がさしてしまったそうです。

 

丸メガネさんは、もはや産経新聞の報道内容はヘイトであり、ラムザイヤーの問題も産経が発端であると指摘しました。ぶーちゃんは、右派と言われるメディアの中国、韓国に関連するニュースの速さから、左派より右派の方が日韓のことをよく追っているような印象を受けているそうです。また、東京新聞、神奈川新聞、琉球新報は地方紙でありながらジャーナリズムが生きた報道をしているとのことです。きりんさんは視点を変え、韓国メディアの問題点をお話してくれました。韓国メディアは朴槿恵前大統領の時は大統領擁護の記事、文政権になってからは報道姿勢が傲慢になり、揚げ足取りとも取れる内容になりました。国民は言論に対する信頼度が低く、「日本のメディアだ」という批判も出ているとのことです。

 

影響力のある全国紙が差別的な言説に与してしまうのは大きな問題です。また、差別的な報道に触れ続けるのはストレスになりますが、もみじさんにとっては業務の一部でもあるのでシャットアウトすることもできず、そのジレンマがお悩みに繋がっているのだと思います。同じようなジレンマを抱えているハルのメンバーは多いと思うので、経験を共有することでストレスの軽減をはかるのが現在できることではないかと考えました。

 

読書会

今回の読書会はりんごさんの発表でした。

書籍は 金成玟『K-POP-新感覚のメディア』岩波書店、2018.でした。

 

筆者はK-POPが定義できないところにK-POPらしさがあると述べています。

 

以下に軽くK-POPの変遷をまとめました。

 

1998年の日本文化解禁以前、日本の模倣からスタート

アメリカに留学した韓国人、西海岸に渡った韓国系移民2,3世の中でブラックミュージッ クに感化された人々が韓国に文化を持ち込み、それを韓国スタイルにして売り出した

その後1987年の民主化の流れを受け、ブラックミュージックの影響を受ける

1997年のアジア通貨危機以降、世界を市場として変化

2000年代にはデータでの音楽流通が盛んに

(米国では2010年代にストリーミングがCDの売り上げを抜いたが、韓国でのこの転換点は2004年)

東方神起はファンダム文化(ファンとしてのアイデンティティを示す言葉)のはしり

しかし、奴隷契約事件で分裂

→アイドルが事務所から搾取されてしまう構造があり、それを変える必要性がある

韓国ではフェミニズムが盛んになっているが、アンチフェミニズムの風潮も根強い

そのため女性アイドルは直接的に社会問題を訴えると批判されがちだが、新たな動きを見せるグループも

→これからのアイドルは、どのように自分のアイデンティティを出していくのかが課題

 

では、ブラックミュージックを借用しているK-POPが、なぜ韓国で流行るのでしょうか?

・世界中でヒップホップが流行しており、韓国もそのひとつだった

・軍事政権下の教育問題、統一問題、青少年問題といったものに対する批判意識と、同じく社会的なメッセージ性を持つブラックミュージックが結びついた

これらの要因が考えられるようです。

 

K-POPがブラックミュージックを借用している歴史的背景から、Black Lives Matterが起こった際に、ファンがK-POPアイドルに声明を出すことを要求(アイドルを脅迫するファンも)する運動が起こりました。主張の内容は「K-POPはブラックミュージックに影響されているのだから、アイドルは声を上げるべき」というようなものです。韓国アイドルに声を上げるべきという意見が集まるのは、それが世界をターゲットにした音楽だからだと思いますが、アイドルを脅迫する人がいることには驚きました。

 

その後米国出身のアイドルや、米国で人気のあるグループはソーシャルメディアにBLMに関する声明を掲載しましたが、事務所から公的な声明はありませんでした。英語圏のファンが韓国のファンを否定的に捉える傾向も手伝ってか、K-POPのスタイルは黒人文化の盗用であるという批判が上がりました。そして、韓国のファンと米国のファンが対立するという事態に発展しました。

 

K-POPとブラックミュージックの繋がりを意識する人はいなかったのか?とりんごさんが疑問を示しました。きりんさんによれば、今回BLMを知った韓国人は多いがK-POPに根差す黒人文化を意識する人は多くないのだそうです。

 

また、韓国を嫌う人の中には、K-POP韓国映画が韓国のソフトパワーの一環であると主張する人がいますが、そのカルチャーには独自性と主体性がある、ときりんさんは指摘します。例えば李明博朴槿恵政権の時には、政権に不都合なスタンスを取るアーティストが「ブラックリスト」に登録されていましたが、主に俳優や映画監督、画家、作家、アイドルが名を連ねており、必ずしも業績のあるアーティストが体制から支援されているというわけではないようです。

 

韓国アイドルは自分の意見を発信していくことが求められる一方で、ファンからの意見も大きな意味を持ちます。男性アイドルのファンには女性が多いため、楽曲に対するファンからのフィードバックがあります。例えば、防弾少年団BTS)もファンの声を反映し、ミソジニー的だった歌詞を変更しました。ファンの言葉がよい結果をもたらすこともありますが、行き過ぎると先述したようなアイドルへの攻撃につながります。アイドルを商品として消費する風潮が、個人として尊重するように変化していくには、まだ時間がかかるのかもしれません。

 

MTGを終えて

今回は参加者数が少なかったこともあって、ひとりひとりのお話をじっくり聞くことができました。私自身はK-POPにあまり明るくないのですが、K-POPが世界規模で注目されているからこそ起きてしまう異文化間の摩擦の複雑さを感じました。ロゴも正式に決まったので、ハルの活動がこれからさらに盛り上がっていけばいいなと思います。

 

今回のMTG記録は以上です。

最後までお読み頂きありがとうございました。

それではまた。

 

追記

東京で開催予定だった「表現の不自由展」は、会場が抗議活動を受けて利用許可を取り消し開催延期、同じ理由で大阪の会場も大阪府から利用許可が取り消されるという事態に発展しました。

 

『「表現の不自由展」東京の開催を延期 抗議相次ぎ』

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210624/k10013102401000.html 〈最終アクセス確認2021/06/27〉

『「表現の不自由展」大阪府が会場の使用許可取り消しを容認 https://mainichi.jp/articles/20210625/k00/00m/040/253000c 〈最終アクセス確認2021/06/27〉