ハル[하루]

私たちハルは、現在まで継続する「日本の植民地支配による民族自決・人権の否定」を回復し、歴史を記憶しながら日本と韓国(朝鮮半島)のこれからについて考え、語り合い、行動するためのグループです。このブログではそんなハルの活動報告やお知らせを発信していきます!

ハル定例MTGの記録(2022年5月)

こんにちは。5月のブログ担当、フレディです。

 

5月のミーティングの内容は以下の通りです。

 

 

映画『愛国と教育』を鑑賞して

 

最初は、ぶーちゃんの発表でした。

2017年度ギャラクシー大賞の受賞作である映画、『教育と愛国』を鑑賞して感じたことなどを共有してくださいました。

 

映画の概要

本作は、歴史の記述をきっかけに倒産に追い込まれた大手教科書出版社の元編集者や、保守系の政治家が薦める教科書の執筆者などへのインタビュー、新しく採用が始まった教科書を使う学校や、慰安婦問題など加害の歴史を教える教師。研究する大学教授へのバッシング、さらには日本学術会議任命拒否問題など、大阪・毎日放送MBS)で20年以上にわたって教育現場を取材してきた斉加尚代ディレクターが、「教育と政治」の関係を見つめながら最新の教育事情を記録した。

『教育と愛国』公式HP, https://www.mbs.jp/kyoiku-aikoku/, 最終アクセス日2022/07/20.

 

ぶーちゃんさんは、安倍晋三元首相が「教育への政治介入」を肯定する発言を行っていたことや歴史学者伊藤隆氏の発言に対して恐怖を感じるとともに、保守派の政治家や学者がいうところの「愛国心」とは一体なんなのかを考えたそうです。

 

劇中の伊藤隆氏の発言は以下のようなものです。

伊藤隆氏「こういうことは私が死んでからにして欲しい」

斉加監督「なにがですか?」

伊藤隆氏「…日本が日本でなくなることです」

 

「日本が日本でなくなること」とは、一体どういったことなのでしょうか。

 

また、公立中学校の社会科教員、平井美津子先生の言葉が印象に残ったそうです。

平井先生は、原爆被害者や中国残留孤児、また「慰安婦」問題について、授業を通して生徒に伝えてきました。

彼女は、教員が政治思想を押し付けるのではなく、生徒が自分自身で考えることに重きを置いた教育方針を取っています。

ぶーちゃんは、日本の教育に危機感を覚えるとともに、積極的に社会運動に参加していきたいと感じたそうです。

 

私自身は映画について知らなかったのですが、上映館が少ないこともあり、ぶーちゃんが行った上映館は満員だったそうです。

 

最後に、ぶーちゃんから「どういう教育を受けてきたか?」という議題が提示されました。

 

私たちのような若い世代は、教科書での植民地主義による加害の歴史に関する記述が少なかったため、きっかけがないと加害の歴史に触れることがあまりありません。

ぶーちゃんも、日韓の「対立」に関しては、メディアを通じて知ることが多かったそう。

 

しかし、そういった加害の歴史についての教育を怠ったことによってヘイトクライムが起きています。

日本におけるウトロ地区での放火は、インターネット上におけるヘイトスピーチが原因でした。

教育をきちんとすれば、そういったヘイトクライムを減らすことができるのではないでしょうか。そういった意味で、政府による教育への介入は問題です。

 

きりんさんは、映画にも出てきた「自虐史観」という言葉ですべてを説明してしまうことや、それによって、知らない人が現状を勘違いしてしまうことに懸念を示しました。

また、きりんさんは現在の韓国にも日本の歴史修正主義者と同じ主張をしている人々がいるということを、自身の高校で起こったことを絡めて共有してくれました。

 

フェミニズムバックラッシュ

ここから、日韓におけるフェミニズムとそのバックラッシュについての話題に移りました。

 

きりんさんによると、韓国では10代、20代の若年男性のバックラッシュが強く、保守派はフェミニズムについて教育するな、と主張しているそうです。

日本のような「慰安婦」問題の否定は見られないようですが、それは「慰安婦」問題が侵略による被害の1つとして捉えられており、ジェンダーのこととして捉えられていないためだそうです。

韓国の男性が「慰安婦」問題に憤るのは、「自分の民族の女性」が辱められたことへの怒りであって、被害者を個人として見ているわけではないのだと感じました。

 

ぶーちゃんさんは、日本でもアンチフェミニズムは若年男性において強いとし、教育における人権教育の重要性を指摘しました。

また、彼女は自身の経験から、ヘイトに対するカウンターほど女性の人権に疎く、インターセクショナリティに関する意識が薄いと感じているそうです。

 

きりんさんは、さらに韓国の大統領選においてみられた男女のフェミニズムに対する意識の差異を共有してくれました。

ユン大統領は選挙前に「女性家族部」をなくすという政策を掲げており、その政策に共感を示した若年男性がユン氏の票田となったということです。

フェミニズムがここまで大きな問題として取り上げられたことをポジティブに捉える動きもありますが、対立は続いています。

 

これまでチャットから参加してくれていたもちさんは、リベラルを自認している人による差別的な言動を指摘することの難しさについて語りました。

その現状をどのように変えていくのかを考えることも重要なことです。

 

同じくコメントを残してくれたおかゆさんも、自身の経験から、学術界にも歴史修正主義が広まっているのではないかと懸念を示しました。

 

終わりに

ハルのミーティングでは、メンバーが個人的な体験を共有することが多いですが、今回もそれぞれの経験を共有することで、歴史教育の重要性を実感できたように思います。

 

今回紹介された『教育と愛国』でも取り上げられていた安倍元首相ですが、つい先日、彼が銃殺されるという事件が起こりました。

政治的に大きな影響力を持っていた彼が、どのように教育に介入しようとしていたか、この映画を通して知ることができるのではないでしょうか。