ハル[하루]

私たちハルは、現在まで継続する「日本の植民地支配による民族自決・人権の否定」を回復し、歴史を記憶しながら日本と韓国(朝鮮半島)のこれからについて考え、語り合い、行動するためのグループです。このブログではそんなハルの活動報告やお知らせを発信していきます!

ハル定例MTGの記録(2022年5月)

こんにちは。5月のブログ担当、フレディです。

 

5月のミーティングの内容は以下の通りです。

 

 

映画『愛国と教育』を鑑賞して

 

最初は、ぶーちゃんの発表でした。

2017年度ギャラクシー大賞の受賞作である映画、『教育と愛国』を鑑賞して感じたことなどを共有してくださいました。

 

映画の概要

本作は、歴史の記述をきっかけに倒産に追い込まれた大手教科書出版社の元編集者や、保守系の政治家が薦める教科書の執筆者などへのインタビュー、新しく採用が始まった教科書を使う学校や、慰安婦問題など加害の歴史を教える教師。研究する大学教授へのバッシング、さらには日本学術会議任命拒否問題など、大阪・毎日放送MBS)で20年以上にわたって教育現場を取材してきた斉加尚代ディレクターが、「教育と政治」の関係を見つめながら最新の教育事情を記録した。

『教育と愛国』公式HP, https://www.mbs.jp/kyoiku-aikoku/, 最終アクセス日2022/07/20.

 

ぶーちゃんさんは、安倍晋三元首相が「教育への政治介入」を肯定する発言を行っていたことや歴史学者伊藤隆氏の発言に対して恐怖を感じるとともに、保守派の政治家や学者がいうところの「愛国心」とは一体なんなのかを考えたそうです。

 

劇中の伊藤隆氏の発言は以下のようなものです。

伊藤隆氏「こういうことは私が死んでからにして欲しい」

斉加監督「なにがですか?」

伊藤隆氏「…日本が日本でなくなることです」

 

「日本が日本でなくなること」とは、一体どういったことなのでしょうか。

 

また、公立中学校の社会科教員、平井美津子先生の言葉が印象に残ったそうです。

平井先生は、原爆被害者や中国残留孤児、また「慰安婦」問題について、授業を通して生徒に伝えてきました。

彼女は、教員が政治思想を押し付けるのではなく、生徒が自分自身で考えることに重きを置いた教育方針を取っています。

ぶーちゃんは、日本の教育に危機感を覚えるとともに、積極的に社会運動に参加していきたいと感じたそうです。

 

私自身は映画について知らなかったのですが、上映館が少ないこともあり、ぶーちゃんが行った上映館は満員だったそうです。

 

最後に、ぶーちゃんから「どういう教育を受けてきたか?」という議題が提示されました。

 

私たちのような若い世代は、教科書での植民地主義による加害の歴史に関する記述が少なかったため、きっかけがないと加害の歴史に触れることがあまりありません。

ぶーちゃんも、日韓の「対立」に関しては、メディアを通じて知ることが多かったそう。

 

しかし、そういった加害の歴史についての教育を怠ったことによってヘイトクライムが起きています。

日本におけるウトロ地区での放火は、インターネット上におけるヘイトスピーチが原因でした。

教育をきちんとすれば、そういったヘイトクライムを減らすことができるのではないでしょうか。そういった意味で、政府による教育への介入は問題です。

 

きりんさんは、映画にも出てきた「自虐史観」という言葉ですべてを説明してしまうことや、それによって、知らない人が現状を勘違いしてしまうことに懸念を示しました。

また、きりんさんは現在の韓国にも日本の歴史修正主義者と同じ主張をしている人々がいるということを、自身の高校で起こったことを絡めて共有してくれました。

 

フェミニズムバックラッシュ

ここから、日韓におけるフェミニズムとそのバックラッシュについての話題に移りました。

 

きりんさんによると、韓国では10代、20代の若年男性のバックラッシュが強く、保守派はフェミニズムについて教育するな、と主張しているそうです。

日本のような「慰安婦」問題の否定は見られないようですが、それは「慰安婦」問題が侵略による被害の1つとして捉えられており、ジェンダーのこととして捉えられていないためだそうです。

韓国の男性が「慰安婦」問題に憤るのは、「自分の民族の女性」が辱められたことへの怒りであって、被害者を個人として見ているわけではないのだと感じました。

 

ぶーちゃんさんは、日本でもアンチフェミニズムは若年男性において強いとし、教育における人権教育の重要性を指摘しました。

また、彼女は自身の経験から、ヘイトに対するカウンターほど女性の人権に疎く、インターセクショナリティに関する意識が薄いと感じているそうです。

 

きりんさんは、さらに韓国の大統領選においてみられた男女のフェミニズムに対する意識の差異を共有してくれました。

ユン大統領は選挙前に「女性家族部」をなくすという政策を掲げており、その政策に共感を示した若年男性がユン氏の票田となったということです。

フェミニズムがここまで大きな問題として取り上げられたことをポジティブに捉える動きもありますが、対立は続いています。

 

これまでチャットから参加してくれていたもちさんは、リベラルを自認している人による差別的な言動を指摘することの難しさについて語りました。

その現状をどのように変えていくのかを考えることも重要なことです。

 

同じくコメントを残してくれたおかゆさんも、自身の経験から、学術界にも歴史修正主義が広まっているのではないかと懸念を示しました。

 

終わりに

ハルのミーティングでは、メンバーが個人的な体験を共有することが多いですが、今回もそれぞれの経験を共有することで、歴史教育の重要性を実感できたように思います。

 

今回紹介された『教育と愛国』でも取り上げられていた安倍元首相ですが、つい先日、彼が銃殺されるという事件が起こりました。

政治的に大きな影響力を持っていた彼が、どのように教育に介入しようとしていたか、この映画を通して知ることができるのではないでしょうか。

ハル定例MTGの記録(2022年4月)

こんにちは!今回のブログ担当のまるこです。

 

実はずっとブログ担当だったのですが、さぼり癖があり、ずっと更新できませんでした・・・今回は意を決して!笑 更新します!

 

 

 

2022年4月のMTGの担当はきりんさんでした。

 

●4月16日、セウォル号事件から8年

4月のMTGは、4月16日に行われました。

そうです。この日は、セウォル号事件から8年を迎える日です。

 

韓国では、当時自分が何をしていたか覚えているほど衝撃が大きかった事件だそうです。私も、3.11当時自分が何をしていたかよく覚えているので、その衝撃の大きさはよくわかります。

 

事件当時、高校2年生だったきりんさんは、自分と同い年の高校生が事件に遭い、余計に事件の衝撃が大きかったそうです。

 

きりん:テレビで船が沈んでいく様子が見えているのに、何もできなかったことがトラウマになった。最初は全員救助されたという報道が出て安心したのに、誤報だった。これによって、二重のトラウマになった。当然助けにくると思っていたのに、何もしなかった国に住んでいるという絶望感が大きかったと思う。

 

セウォル号事件や崔順実ゲート事件をきっかけに朴槿恵大統領(当時)が弾劾された後、文在寅政権が発足します。政権が変わった後、すぐに沈んだ船が引き揚げられたそうです。沈没から3年後でした。

 

きりん:被害者家族は船の引き揚げを要求していたが、技術を理由に引き揚げを拒否されていた。ろうそくデモで政権が変わった後すぐに船が引き揚げられ、「それって可能だったんだ」と思った。政権が変わるってこういうことか、と自覚した。

 

今年4月、日本でも知床沖遊覧船沈没事故が発生しました。運航会社「知床遊覧船」のずさんな管理体制、安全確認などが明らかになり、責任を追及されています。

会社の責任は計り知れません。現在見つかっているすべての人は死亡が確認されています。中には3歳児もいました。そして今なお、発見されていない人もいます。

しかし一方で、国の管理体制の甘さも認められます。昨年の時点で、同会社は2度事故を起こしました。その際国土交通省は監査に入り、改善報告書等を提出させましたが、今回の事故を防ぐことはできませんでした。国交省はこの点について、見直すとしています。

 

セウォル号事件、知床沖遊覧船事故。この二つの事件は、果たして全く関係ないと言えるのか、とつくづく思います。

 

●留学先で見かけた労働運動

次に、参加したメンバーの近況報告を行いました。

まず、もちさんの近況報告です。

現在韓国に留学中のもちさん。今まで韓国に行っても、行かなかったところに行ってみたりしているそうです。

 

もちさんが留学している大学の寮の清掃員の方々が、労働環境の悪さを訴え、デモを行っているそうです。2010年代ごろから行っており、かなり長く続いている運動です。

お昼休みの時間を削り、看板を持って立っているそうですが、学生たちは授業もあることから、つい素通りしてしまうそうです。さらに、学生が、このデモに関して働きかけを行う様子も見たことがないそうです。

 

ですが、デモを行っている人々は、少ない賃金のなかで、学生を支援する奨学金を作ったりしています。

 

もちさんは、「素通りするだけで搾取する側に回っているようで。自分は、がっつりとした韓国の構成員ではないが、何かできたらいいと思っている」とお話していました。

 

●ついに東京で開催された「表現の不自由展」

4月2日から5日まで、「表現の不自由展」が東京で開催されました。

ハルに参加しているりんごさんは実行委員として、茶々丸さんはボランティアで関わっていました。

 

茶々丸さんは、主にSNSでの広報を手伝っていたそうです。Twitterやインスタグラムでのあの投稿は、茶々丸さんが動かしていてくれたんですね…!広報の成果か、若い人達がたくさん来場してくれたそうです。

 

ボランティアとして参加している人は、SNSをうまく活用できる世代(20代や30代でしょうか)があまりおらず、苦労していたそうです。

SNS活用がうまくいっていないことは、社会運動で常々課題とされてきました。できる人に押し付けるのではなく、全員ができるようになることが、デマにあらがっていくためにも、このインターネット社会では必要ですね。

 

「表現の不自由展」で常に取り上げられるのが、「平和の少女像」です。

今回も展示され、だれでもとなりに座れるようになっていました。

茶々丸さんによると、来場した人の中には、「やっと会えたね」と涙を流す人や、本当に自分が座っていいのか戸惑っている人など、様々な反応があったそうです。

来場した人が歴史に向き合える、そうした空間を実現してくれたのが「表現の不自由展」だと思います。日本でだからこそ、開催する意義がある。今後もぜひ続けていってほしいです。

 

りんごさんは、主に申し込みの管理をしていたそうです。ほぼ一人で管理していたため、苦情の対応などに追われていたそうです。

きちんとした入場者数は知らないですが、おそらく1000人単位ですよね。その人数を一人で管理するのは、本当に大変だったと思います。

 

茶々丸さん、りんごさん、お疲れ様でした!

 

●日本軍「慰安婦」問題解決運動に関わる若者

りんごさんは現在、フランスに留学中です。

大学院1年生で、期末にミニ修士論文?を提出しないといけないとのこと。

私も日本の大学院を通っていましたが、想像しただけで吐き気がしそうです…笑

 

テーマは、日本軍「慰安婦」問題解決運動に関わる日本の若者について。

私もインタビュー受けさせていただきました!

自分の人生や、どうやって「慰安婦」問題に関わってきたか、振り返ったことなかったので、貴重な体験でした。

 

もう私たちの世代になると、教員が積極的に教えない限り、日本軍「慰安婦」問題について小中高校では学ばないですよね。私も大学でこの問題に出会いました。

また、きちんとした性教育も受けることなく、ジェンダー規範にとらわれてしまいがちです。

仲間がどうやって問題に出会い、活動するまでに至ったのか、私も興味があります!

 

論文が楽しみですね☻

 

●韓国フェミニズムを話し合う

るーさんは前回から参加しているメンバーですが、私は今回のミーティングで初めてお会いしました!

 

るーさんは、4月にTOPIKを受けたそうです!私も7月にTOPIKを受けるので、ドキドキです。(5年ぶりくらいに受けます笑)

韓国語スピーキングの授業をとっているそうなので、語学頑張ると意気込んでいました!

 

またるーさんは、学部4年生ですが、大学院の授業もとっているとのこと。さらに朝鮮史だけでなく、台湾史の授業まで…私だったらキャパオーバーですね。

 

最近、韓国人男性と話す機会があったそうです。韓国でのフェミニズム運動について話したそうです。韓国の方と、そういった話ができたことが最近の印象深い出来事だったとのこと。

韓国では、最近ユン・ソギョル新大統領が就任しました。保守派であり、選挙期間中に、女性家族部を廃止すると発言したことは、さすがに驚きました。

 

きりんさんによると、今韓国内でも男女の対立が激しいそうです。大統領選挙の結果を見ても、男性と女性で正反対の投票結果が出ましたよね。

 

私も日々感じていることですが、男性、特に同年代の男性とフェミニズムについて話し合うことは、すごく難しいです。関心や理解があると思う男友達と話していても、ちょっとどこかずれた発言を聞くことがあります。

話し合うことがまず一歩だと思うのですが、正直心が削れてしまいます。

フェミニズムに関心がない周囲の人々と、どう話し合っていくか。私のなかでの一つの課題です。

 

●ロシアのウクライナ侵略、日本はそれでいいのか

最後に私まるこが近況報告させてもらいました。友人の家族がウクライナ支援のための活動を行い、私も協力させてもらいました。友人からはお礼と、家族の素敵な取り組みに共感してくれたことがうれしかったという内容のラインが来ました。嬉しい反面、今まで私がやってきたジェンダーや日本軍「慰安婦」問題の活動について、一度も素敵と言われたことがないことに、モヤっとしたことを共有しました。

 

日本は、ウクライナから避難してきた人々を受け入れたり、支援をしている市民が多くいます。ここまで大勢の人が戦争反対の声をあげたり、寄付をすることは、なかなかないでしょう。

 

支援は素晴らしいことです。ですが、日本社会は過去の日本の戦争加害に目を向けているのでしょうか。日本の歴史修正主義者による歴史否定のことは知っているのでしょうか。ミャンマー軍による弾圧やアフガニスタンなどについては、多くの人が目を向けませんでした。日本では難民が受け入れられていない実情を、どこまで考えているのでしょうか。

外に目を向けることも大切ですが、自分たちが住んでいる国、社会が加害者になっていないか、この機会に向き合うべきだと考えます。

 

以上です!次回は5月21日にミーティングです。

何を話し合うか、楽しみですね✨

 

ハル定例MTGの記録(2022年3月)

はじめまして!新しくハルのブログ担当に加わりましたもちです^^

ひさしぶりの投稿になりました。ハルはこの間も活動を続けていたのですが少々忙殺されておりました。

 

でも活動の記録を残すのはやっぱり大事!今はコロナもあって制限がかかっていますが、これからハルでももっと色々な企画をしていきたいと思っています。ということで新しく来てくれる方にハルの様子がわかるよう、今月から心機一転頑張りたいと思います。

 

ところで新入りのもち、ペンネームを何にしようかと考えていたのですが、私の最愛の動物である小鳥と似たペンネームを持っているメンバーがすでにいますね。。

 

なのでもちにしました。理由は特にありません。実は今韓国に留学していて、語学堂でもちに関することわざをたくさん習います。それでふともちが思い浮かんだ次第です。

完全な思いつきですが悪くないでしょう!

 

 

1. 新規メンバーの自己紹介

今回からハルにはもちを含め新しく4人のメンバーが加わりました!

仲間が増えて嬉しいですね!

それぞれの関心については、これからの企画で追々扱っていこうと思います。

 

2.フレディさんの発表「選択的夫婦別姓とは何か」

3月の企画は大学院で選択的夫婦別姓制度について研究をしているフレディさんによる発表でした。

 

もちの女性の友達も最近結婚したのですが、姓を統一する際や戸籍を作成する際にやはり女性側に負担がかかると相談されました。

 

フレディさんのプレゼンの中でも「婚姻総数のうち女性が改姓した割合は96%にのぼり、恋愛という極めて私的な関係性のなかにも男女の権力構造が存在している」との指摘がありましたね。

 

1947年の民法改正後も事実上存続してしまっている家父長制に抵抗し、事実婚を選択する人が増加しています。

 

しかし事実婚では、夫婦別姓はかなえられる一方、法律上はあくまで「準婚」。

そのため法律婚と同等の権利は得られず、税金負担の増加・出産の際の煩雑な手続き・相続権がないなどのデメリットが発生します。

 

このように個人の選択権が制限される状態を解消するための「選択的夫婦別姓」ですが、2015年に引き続き昨年6月にも最高裁は、夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定を「合憲」と判断しました。

 

フレディ:夫婦別姓の国は世界中にたくさんあり、中には夫婦の旧姓と全く違う姓を新しく作ることもある。その中で日本では共通姓を名乗る風潮が強すぎて、反対を和らげるため改正案にもわざわざ「選択的」という言葉をつけている。

 

くぼみ:なぜここまで縛られられなければならないのか?同姓にする選択肢しかないのはなぜか?この問題は今は社会問題化されているが、それでも法改正には至らず現在まで引き継がれてしまったことに憤りを感じる。

 

3. ディスカッション

ー発表を聞いて

はなこ:自分自身も将来事実婚を選ぶと思う。理想としては別姓だが裁判を起こす負担を負える自信がない。事実婚の子どもの姓はどうなっているのか?

フレディ:当事者へのインタビューを用いた先行研究は多い。ただ子どもが賛成・反対の議論の引き合いに出されることを懸念し、子ども自身の声が聞かれにくく研究も少ない。

はなこ:周りの女性研究者の中にも事実婚が多い。

フレディ:実績が重視される研究者が事実婚を選ぶケースは確かに多い。

もち:1947年に民法改正があったとのことだが、日本の家父長制は変わらず存続しているように見える。1947年前後での違いとは?

ぶーちゃん:「嫁入り」とか「奥さん」「入籍」などの表現もおかしい。

フレディ:制度上「戸主」が絶対的な権限を持っていた。現在は婚姻に関して「両性の合意」が要件となっている。

まるこ:今後も法律が変わることなければ、私も事実婚を選択したいと思っている。事実婚家庭で育った子どもの声は、選択的夫婦別姓を進めていくためにも非常に重要な要素の一つだと感じる。戸籍制度も含めて、今後も継続して議論されるべきだと思う

 

ー韓国では?

もち:韓国の家族関係登録制度についてはどのような感触を持っているのか?

きりん:韓国ではもともと夫婦の姓にかんして法律的な規制はなく古来から別姓。

一方、韓国内で議論になっているのは子どもの姓。両親の姓を入れるような運動も。(朝鮮名では姓はほとんどが一文字なので、名前にもう一つの姓を加えて届ける人が多い)

子どもの姓は以前は婚姻届を出すときに届出をしなければならなかったが、昨年、婚姻後に子どもの姓を母親のものにすることを認める判決が下された。(今年の韓国女性大会で受賞)

もち:日本では手続き等、何かにつけて個人ではなく家に縛られることが多いと感じる。

フレディ:韓国では家族関係や人口調査を個人単位で把握するようになった。

きりん:会社などに出すのは大体は「住民登録謄本」(同居している人が表示されている)。

また「家族関係証明」には本人と親のみ記載されていて兄弟の名前は出ない。ただし証明書を要求されることはほぼなく「住民登録謄本」を取りに行くことが多い。

 

夫婦別姓を実現するには?

おかゆ:選択的夫婦別姓に反対する人たちは「家族のまとまり」がなくなる、と言うが、「選択的夫婦別姓」では家族で姓のあり方を選択できる余地がある。世論も賛成の方が多く、議員の中に右派が多いから議論が進まないだけなのではないかと思う。

つまり、制度を変えるための正当性はかなり確立されていると思う。今は市民を納得させるという段階を過ぎて、それでも実際の局面で男性の姓に統一してしまうという現状を見つめるべきとも考えられるか?

フレディ:保守・リベラルで割り切れない賛成・反対の現状もあると思う。「陳情アクション」の中では保守政党の中でも選択的夫婦別姓について知らない人が多く、説明したら議会での法改正提出に動いてくれる人もいる。支持層をどう広げていくかが問題だと思う。

おかゆ:支持層とは?世論の賛成の割合と議会の動きのギャップがなぜ生まれているのかが気になる。あくまで「選択制」なのになぜ進まないのだろうか?

フレディ:姓の問題については世代間の差が大きく高齢層が自民党支持層の傾向。世論が投票を通して選挙結果に反映されていないのではないか。「日本の伝統」が崩されることが怖いという声もある。

おかゆ:「選択」がいずれ自分たちにも降りかかってくるという危機感があるのか?

フレディ:法改正を防ぐために「選択」=「全員が別姓にしなければならない」という間違った情報を流して反対に取り込もうとする動きもあるが、確かではない。

 

おかゆさんが、昨年末NHKで放送された夫婦別姓に関するドキュメンタリーを紹介してくれました。

https://www.nhk.jp/p/ts/QLKY9QQKK2/episode/te/2W79XKZJ4P/

 

 

夫婦別姓に反対する声の中に見られる「家族のつながり」ー別姓によって壊れるものなのでしょうか?「日本の伝統」ー女性へ負担を強い続けることが本当に正当化され得るのでしょうか。もちは大学院生ですが、学術分野でのキャリアを想像するにあたって結婚や出産は犠牲にせざるを得ない現実があると思ってしまいます。

そして「家族のつながり」「日本の伝統」といったものの実態を見ずに思考停止をする姿勢は、日本人が他民族に対し「反日」という言葉を用いて攻撃する態度とも共通するのではないでしょうか。

そうした姿勢の根源には何があるのか、まだまだ学び続ける必要がありますね。

 

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来月はきりんさんの企画です^^

またお会いしましょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハル定例MTGの記録(2021年6月)

こんにちは、ハルのブログ担当、フレディです。

今回は、2021年6月に行なわれたハルの定例MTGの内容をまとめたいと思います。

 

 

ブログのロゴ決定案

ハルのロゴはイラストが上手なメンバーが描いたもので、(2月のブログでも触れられています)これまで細かい部分は仮決定というかたちでしたが、今回ついにロゴが正式に決定しました。

 

明るい緑だったロゴの色を落ち着いた緑色に変更し、ハングル表記のハルだけでなく、カタカナでもハルと表記しました。今後ハルの活動を続けていくにあたって、このロゴを使ったグッズ(ステッカーやバッジなど)を作ることも検討しています。

 

発表の順番決め

ハルの定例MTGでは、毎回メンバーが発表をすることが決まっています。

今回は数か月後まで発表者を決めました。

7月 丸メガネさんとぶーちゃんが参加する予定の「表現の不自由展」の報告

8月 フレディの発表

9月 きりんさんの卒業論文についての発表

 

きりんさんはジュディス・ハーマンの「トラウマ理論」を援用し、1995年の姜徳景、金順徳ハルモニの絵の展示について卒業論文を書いたそうです。当時も運営への脅迫があり、その際も「展示できるかわからない」という状況になりました。これは現在開催が予定されている「表現の不自由展」への抗議にも通底する問題があるのではないでしょうか。

 

ブログチームのメンバー募集

ハルのブログメンバーはこれまで4名でしたが、ローテーションの問題もあるため、ブログメンバーを募集しました。実は私フレディも今回からの参加です。

 

6月DHC本社前抗議デモの様子

化粧品会社DHCが在日コリアンへのヘイトスピーチを公式サイトに掲載したことを受けて、6月3日にDHC本社前で抗議デモが行われました。ハルからは丸メガネさんとぶーちゃんが参加し、合計130人ほどがサイレントでの抗議を行いました。ぶーちゃんは帰宅するDHC社員に向けてビラを配る予定でしたが、デモの時間中に社員さんは出てこなかったようです。

 

問題となった文書は削除されましたが、依然として差別をあおったことについての謝罪などはありません。DHCは様々な事業展開をしているため、地方自治体との提携も多いですが、今回のことを受け、地方自治体がその提携を切る動きを見せています。今後もDHCやそれに関わる企業、自治体の動向に注目する必要があると考えます。

 

もみじさんのお悩み

勤務している会社から産経新聞を読むことを推奨されているもみじさん。しかし、中国や韓国を蔑視した内容のものが多く、差別的な感情をあおるような報道に嫌気がさしてしまったそうです。

 

丸メガネさんは、もはや産経新聞の報道内容はヘイトであり、ラムザイヤーの問題も産経が発端であると指摘しました。ぶーちゃんは、右派と言われるメディアの中国、韓国に関連するニュースの速さから、左派より右派の方が日韓のことをよく追っているような印象を受けているそうです。また、東京新聞、神奈川新聞、琉球新報は地方紙でありながらジャーナリズムが生きた報道をしているとのことです。きりんさんは視点を変え、韓国メディアの問題点をお話してくれました。韓国メディアは朴槿恵前大統領の時は大統領擁護の記事、文政権になってからは報道姿勢が傲慢になり、揚げ足取りとも取れる内容になりました。国民は言論に対する信頼度が低く、「日本のメディアだ」という批判も出ているとのことです。

 

影響力のある全国紙が差別的な言説に与してしまうのは大きな問題です。また、差別的な報道に触れ続けるのはストレスになりますが、もみじさんにとっては業務の一部でもあるのでシャットアウトすることもできず、そのジレンマがお悩みに繋がっているのだと思います。同じようなジレンマを抱えているハルのメンバーは多いと思うので、経験を共有することでストレスの軽減をはかるのが現在できることではないかと考えました。

 

読書会

今回の読書会はりんごさんの発表でした。

書籍は 金成玟『K-POP-新感覚のメディア』岩波書店、2018.でした。

 

筆者はK-POPが定義できないところにK-POPらしさがあると述べています。

 

以下に軽くK-POPの変遷をまとめました。

 

1998年の日本文化解禁以前、日本の模倣からスタート

アメリカに留学した韓国人、西海岸に渡った韓国系移民2,3世の中でブラックミュージッ クに感化された人々が韓国に文化を持ち込み、それを韓国スタイルにして売り出した

その後1987年の民主化の流れを受け、ブラックミュージックの影響を受ける

1997年のアジア通貨危機以降、世界を市場として変化

2000年代にはデータでの音楽流通が盛んに

(米国では2010年代にストリーミングがCDの売り上げを抜いたが、韓国でのこの転換点は2004年)

東方神起はファンダム文化(ファンとしてのアイデンティティを示す言葉)のはしり

しかし、奴隷契約事件で分裂

→アイドルが事務所から搾取されてしまう構造があり、それを変える必要性がある

韓国ではフェミニズムが盛んになっているが、アンチフェミニズムの風潮も根強い

そのため女性アイドルは直接的に社会問題を訴えると批判されがちだが、新たな動きを見せるグループも

→これからのアイドルは、どのように自分のアイデンティティを出していくのかが課題

 

では、ブラックミュージックを借用しているK-POPが、なぜ韓国で流行るのでしょうか?

・世界中でヒップホップが流行しており、韓国もそのひとつだった

・軍事政権下の教育問題、統一問題、青少年問題といったものに対する批判意識と、同じく社会的なメッセージ性を持つブラックミュージックが結びついた

これらの要因が考えられるようです。

 

K-POPがブラックミュージックを借用している歴史的背景から、Black Lives Matterが起こった際に、ファンがK-POPアイドルに声明を出すことを要求(アイドルを脅迫するファンも)する運動が起こりました。主張の内容は「K-POPはブラックミュージックに影響されているのだから、アイドルは声を上げるべき」というようなものです。韓国アイドルに声を上げるべきという意見が集まるのは、それが世界をターゲットにした音楽だからだと思いますが、アイドルを脅迫する人がいることには驚きました。

 

その後米国出身のアイドルや、米国で人気のあるグループはソーシャルメディアにBLMに関する声明を掲載しましたが、事務所から公的な声明はありませんでした。英語圏のファンが韓国のファンを否定的に捉える傾向も手伝ってか、K-POPのスタイルは黒人文化の盗用であるという批判が上がりました。そして、韓国のファンと米国のファンが対立するという事態に発展しました。

 

K-POPとブラックミュージックの繋がりを意識する人はいなかったのか?とりんごさんが疑問を示しました。きりんさんによれば、今回BLMを知った韓国人は多いがK-POPに根差す黒人文化を意識する人は多くないのだそうです。

 

また、韓国を嫌う人の中には、K-POP韓国映画が韓国のソフトパワーの一環であると主張する人がいますが、そのカルチャーには独自性と主体性がある、ときりんさんは指摘します。例えば李明博朴槿恵政権の時には、政権に不都合なスタンスを取るアーティストが「ブラックリスト」に登録されていましたが、主に俳優や映画監督、画家、作家、アイドルが名を連ねており、必ずしも業績のあるアーティストが体制から支援されているというわけではないようです。

 

韓国アイドルは自分の意見を発信していくことが求められる一方で、ファンからの意見も大きな意味を持ちます。男性アイドルのファンには女性が多いため、楽曲に対するファンからのフィードバックがあります。例えば、防弾少年団BTS)もファンの声を反映し、ミソジニー的だった歌詞を変更しました。ファンの言葉がよい結果をもたらすこともありますが、行き過ぎると先述したようなアイドルへの攻撃につながります。アイドルを商品として消費する風潮が、個人として尊重するように変化していくには、まだ時間がかかるのかもしれません。

 

MTGを終えて

今回は参加者数が少なかったこともあって、ひとりひとりのお話をじっくり聞くことができました。私自身はK-POPにあまり明るくないのですが、K-POPが世界規模で注目されているからこそ起きてしまう異文化間の摩擦の複雑さを感じました。ロゴも正式に決まったので、ハルの活動がこれからさらに盛り上がっていけばいいなと思います。

 

今回のMTG記録は以上です。

最後までお読み頂きありがとうございました。

それではまた。

 

追記

東京で開催予定だった「表現の不自由展」は、会場が抗議活動を受けて利用許可を取り消し開催延期、同じ理由で大阪の会場も大阪府から利用許可が取り消されるという事態に発展しました。

 

『「表現の不自由展」東京の開催を延期 抗議相次ぎ』

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210624/k10013102401000.html 〈最終アクセス確認2021/06/27〉

『「表現の不自由展」大阪府が会場の使用許可取り消しを容認 https://mainichi.jp/articles/20210625/k00/00m/040/253000c 〈最終アクセス確認2021/06/27〉

 

ハル定例MTGの記録(2021年5月)

こんにちは、ハルのブログ担当、丸メガネです!

今回は、2021年5月15日におこなわれたハルの定例MTGの記録です。

5月MTGは、特にやることを決めずに、メンバーが最近、「日韓」にまつわることで悩んでいることを話し合う「お悩み相談会」をしました。

今回話したことは、こんな感じです!

 

 

きりんさんの豆知識

「お悩み相談」の前に...まずは、きりんさんからMTGのおこなわれた5月15日にかかわる豆知識の紹介がありました!

きりんさんによると、韓国では5月15日は「先生の日」といって、小中高で生徒がお世話になっている先生にサプライズで感謝を伝える日なのだそう。先生にプレゼントやカーネーションを渡したりするそうです。

ただ、そういった「先生の日」に関して、なんと2015年に「キム・ヨンラン法」という在学中に生徒が私的に先生にプレゼントを渡すことを禁止する法律ができてしまったそうです。

というのも、年々生徒から先生に対するプレゼントが大きなものになっていたり、生徒の成績評価などに影響しかねないからだそう。

卒業後に先生に何か贈り物をするといったことは大丈夫らしいのですが、日本にはそもそもこういった「先生の日」みたいな日がないような気がするので、面白かったです!

 

「お悩み相談会」

最初の方でも書いた通り、今回のMTGではメンバーが最近、歴史や差別について悩んでいることを相談し合いました。というのも、以前のMTGでのフリートークの時間に、まわりの人の差別発言に対する対応などで悩んでいるという相談があって、ぜひそうしたことをみんなで話そうとなったのです。

今回の記録では、座談会のような形で話し合いを簡略に紹介したいと思います!

身近な人との認識の違い

うさぎ:大事な人と認識違う時に辛い。どうしたらいいのか...。

ぶーちゃん:そういう人たちとは避ける。一人でやっていくのは大変。

茶々丸家族(父)が百田尚樹の『反日種族主義』『日本国紀』とかの右寄りな本を読んでいた。他にも、友達にフェミニズムに関心があると言ったら、「そんなの意味ない」「危なくない?」と言われる。みんなどうしてる?

りんご:バイト先とかでは、自分からジェンダー論、フェミニズム勉強しているということを話しちゃう。自分と近い人とは、バチバチ議論して、喧嘩してダメだったらお別れ。父親とは諦めて何も離さない。

関係性の浅い人の差別的な発言にはどうしたらいいのか

フレディ:家族とか身近な人には恵まれてた。でも、関係性が浅い周りの人(差別のことがわかっていない人)が差別的な発言をした時など、どうしたらいいか。こういう身の回りの差別を指摘できないのに、大きな構造なんか変えられないんじゃないかという自責の念が起きてしまう。バイト先の人の「差別する人がいるのはしょうがないよね」という言葉にショック...。

うさぎ:自分も家族だけじゃなくて、関係性の浅い人たちに言えない自分にイライラ・モヤモヤしてたけど、自分が悪いんじゃないと思いたい。「それってダメじゃないですか」って言ってダメだった時にショックだから、自分が言ってもだめそうな人には諦める。自分を責めないでほしい。

丸メガネ:自分が悪いんじゃなくて、その時の権力関係や構造の問題。笑わないとかはまずできることとしてあるけど、差別への指摘は立場の関係とかですぐにはできなかったりすることもある。だからこそ、ルール作りが重要。たとえば、バイト先で差別禁止のルールがあったり、差別を報告できるような制度があれば、その場では差別に指摘できなくてもあとから第三者に報告するとかできる。ある意味では、そういうルールがないから、個人の努力だったり、個人が完璧な人間になることが求められてしまう。でもそれは、自責の念が起こりやすくて、自己責任論とも結びつきやすい。ルールをつくるためにどうしたらいいのかは考えなくちゃいけないけど...。

フレディ:自罰的に思っちゃう傾向があるから、自分を対極的にとらえられるようにしたい。

ハナ:話を聞く人と聞かない人はなんとなくわかるから、聞いてくれそうな人には小出しにして話す。特に大事な人には。母親には自分が女性として譲れないものがあるということに、もしかしたら共感してくれるかもしれない。自分の学んでることを話すことに少し勇気出た。

もみじ:大学のアルバイトの店長がレイシストだったし、大学時代の友人とは価値観合わなかった。本を渡したことある。知識を得ると価値観が変わるから。それでもダメなら、仕方ないと諦める。賛同だけはしないように。

まるこ:あまりそういう経験はない。家族も友人もある程度は理解してくれていた。少し楽観的に、就活でも自分のやってたことを書いた。あまり言えない自分を責めなくてもいい。練習あるのみ。

きりん:韓国人の日本専攻で、日本に憧れている人だから、韓国を悪く言っても理解してくれるだろうという人もいる。今はできるだけ避けている。フェミニズムや歴史の問題。避けてもいいし、それが悪いわけではないし。留学中は守られた環境、留学後の交流会などがレイシストがいて辛かった。当時は嫌だったけれど、今考えるとよかった面もある。留学中はゼミで勉強していたけど行動に移せなかった。留学後にはショックを受けたけど、それがきっかけで行動(セミナーの参加、キボタネプロジェクト)ができた。相手が言ってることがなぜ悪くて、自分が考えてることがなぜ正しいのか自分の中で説明できることが大事。

ハナ:もともと自分に保守的な部分があった。学んだり、指摘してもらったりする中で落ち込むこともあるけど、周りの環境のせいで自分の考え方が制限されることもある。相手が保守的であってもいったん話を聞く。なんでそう思うんですか?とか話を聞く。理解してくれる人は理解してくれる。

ネトウヨからの攻撃が怖くて...

きのこ:いま学部3年で進路に悩んでる。もともとは研究職につきたかった。ただ研究者とかが右翼からの攻撃を受けている現状を見て、自分が右翼からの攻撃に耐えられるか不安になった。仕事じゃなくても攻撃を受けることに恐怖心がある。その恐怖心さえ克服できればいいのに。

ハナ:擁護してくれてる研究者の人もいるはず。仲間はいるはず。攻撃の対象になるかもしれないけど、同時に仲間も増える。

ぶーちゃん:論破してきたがる人は多い。自分が日韓の問題に携わってきてから出会う人たちは同じ土俵に立たないようにしてる。SNSとか顔も名前も出さないようにしている。自分自身はもう失うものがないみたいな感じがある。自分が間違ったことしてないという思いもあるから。でも家族や友人などに影響が及んだら考えもの。住所特定されたらそれは犯罪だから法的処置を取ろうと思ってる。

りんご:実際、誹謗中傷を受けたことがないからかもだけど、あんまり顔も見えない人の言葉は何も感じない。でも、奨学金の面接で自分の研究領域を言ったら、人前では言わない方がいいかもと言われた。

丸メガネ:きのこさんは、どういう被害を想定してる?

きのこ:ネトウヨの言ってることは気にしなくていいというのはわかるけど、受け流せるかわからない。それに、最近彼女の父にも自分の学んでいる朝鮮史について嫌味を言われた。彼女が一度できたら、基本的には結婚すると思ってるんだけど、結婚を認めないと言われたらどうしよう。彼女と結婚するときは自分の方の苗字を彼女の苗字に合わせようかと思っているけど、彼女のお父さんに自分の苗字を変えることを拒否されたらどうしよう。正しいことをしてるんだという信念があっても不安。

ハナ:相手に伝えたことある?

きのこ:ゼミの指導教員の先生の授業を彼女と一緒に受けたんだけど、ふと見えた相手のレポートが「安倍さんのおかげで教科書から「慰安婦」記述が消えた」というものでショックだった。寛容論。そういう考え方もあるよね、みたいな。付き合うからには価値観合わせたいけど、諦めてしまった。

ハナ:そんな簡単な話じゃないから難しい...。

MTGを終えて

今回、丸メガネは途中で退出してしまったので、議論も途中までの参加だったのですが、お悩み相談はなかなか難しいけれど大事な話し合いだったなと思います。

とにかく、こうした「日韓」の歴史や差別に関する問題意識を持っていると、孤独になりがち。まわりの人からの理解も得づらい。そういうなかでこういう、ハルのメンバーどうしで悩みを共有し合うこと自体が、直接的な解決策をみつけることには至らなくても、大事だなぁと思います!

でも、改めて思うのは、こういう問題意識を持っている個人が辛くなってしまう問題は、決して個人の問題ではなく、社会の、構造の問題だということ。もし、差別禁止ルールがあったり、日本社会にまとも歴史認識があれば、こういう悩みはあまり起きないんじゃないかなと思います。だからこそ、差別が禁止されなくちゃいけないなんてことは人間として当たり前のことなんだ、というような社会規範をみんなで作っていかなくちゃいけないんだと思います。

次回のMTGは6月19日!

ひとまず都合が合う人は、6月11日におこなわれる鄭栄桓先生の講演に参加して、感想を話しあうことになっています。

www.meijigakuin.ac.jp

それでは、今回はこの辺で!

 

※参加したメンバーの感想

きのこ:お悩み相談のコーナー、僕のとても個人的な話に終始してしまい申し訳ありません。フレディさんの恐怖心を抱きながら前進するしかないという話に心を打たれました。未だ攻撃や批判に対して怖いという意識はありますが、その恐怖心すらいつか経験として自分の語りを助けてくれるのかなと思います。また何かあったら相談させてください!!

ひよこ:人のお悩み相談は、自分の悩みにもどこか繋がっている点があり、新たな視点を得るためにも役立つと感じました。読書会は対象を広げるとのことで、みなさんがより気安く参加できるようになると思います。

ぶーちゃん:韓国のまめ知識、すごく良かったです!しらなかった〜 悩み相談、すごく深刻で真剣でしたね。日韓問題に関わることがハードルになることって、研究職だけじゃなくて、運動の継承としても大打撃ですよね。そんな日本社会の”空気”を壊さないといけないと思う。

フレディ:今日の相談会で皆さんと悩みを共有できて、かなり心が軽くなりました。メンバーの皆さんは日韓のこと、差別だけでなく、ジェンダーに対しても問題意識を持っている方が多いので、今後も関心を共有できたらと思います。

ハナ:皆さん同様の悩みを抱えているということが知れてよかったです。答えがない問題ばかりですが、話せる人がいるだけでも楽になると思うので、お悩み相談会はまたやってほしいです!最初の韓国豆知識とても楽しかったです、負担にならなければ、もっといろいろ知りたいです。

まるこ:自分自身恵まれた環境で育っており、理解ある人達に囲まれているので、みなさんの悩みにきちんと応えれなかったのが心残りだ。うまく話せなかったが、今後周りに伝えていきたいのなら、それには「話す」という訓練が必要なんだろうと思った。たとえ話せなかったり、意見を伝えることができなくても自分の責任ではないから責めないでほしいし、今取り組んでいることを自慢に思ってほしい。改めて今の自分がいい環境にいることを確認できたいい機会だった。

うさぎ:今日のミーティングでよかった点→お悩み相談室は、自分の参考になると同時に、他の人がどのような問題意識や境遇なのかを知ることができて良い時間だった。/改善が必要だと思った点→ビデオオフだと、表情が見えないので少しやりづらかった。お悩み相談室で、自分が話したことが、相手(発表者)にどう受け取られているかがわからなかったため。/感想→自分が社会人で日韓関係やフェミニズムジェンダーなどの話から遠ざかっていたことがあり、良い刺激になった。難しい用語などを使わなくても、モヤモヤを感じたことについてこのように話せる場所はとても大事だと思った。

 

ハル定例MTGの記録(2021年4月)

こんにちは、ブログ班のきのこです。4月の全体ミーティングの記録をブログに投稿するのに世の中もう7月です。怠惰なきのこをお赦しください…(笑)

 

さて、4月のミーティングの流れはこんな感じでした。その時トレンドだった内容が盛り沢山でしたが、世の中もう7月です(2回目)

 

 

セウォル号事件について

ミーティングに人が集まってくるまでの間にいつも恒例のきりんさんの豆知識(?)コーナー!!実はきのこが密かに楽しみにしているこのコーナー、今回はセウォル号事件についてでした。ミーティングは17日に行われましたが、セウォル号事件が起こったのは2014年の4月16日なので、記念日の翌日でした。

 

事件当時きりんさんは学生らと同い年で、とても他人事とは思えなかったそうです。記憶のためのシンボルとして黄色いリボンが使われていることも教えていただきました。

 

あなたにとってセウォル号事件はどのような記憶ですか?正直に白状すると、きのこは当時あまり関心を持っていませんでした。高校生の最後の方にふと耳にしたBTSのSpring Dayをきっかけに少し調べましたが、それでもあまり深く考えようという姿勢を持ったことはありませんでした。

 

セウォル号の事件から私たちが考えられることはとてもたくさんあります。政治のこと、教育のこと、若者を取り巻く複雑な権力のこと…。決してそれは対岸の火事ではなく、学生時代を経験した全ての人間に共通する重い「宿題」なのではないでしょうか。

 

ラムザイヤー論文に関する報告

さて、話は変わって今年の新春の時期を騒がせたラムザイヤー論文に関して、まるこさんが行ったメディア研究をテーマに報告してくれました。

 

まず、韓国国内の報道について。韓国では保守メディアによる報道が多く、ハンギョレや京郷新聞は進歩派メディアにも関わらず報道件数が少なかったそうです。その報道内容に関しては両者とも大きな差異はなく、報道合戦は日本の産経新聞を皮切りにアメリカ、中国、ヨーロッパへと拡がっていきました。

 

一方日本のメディアでは全体的に報道が少なく、神奈川新聞などの地方紙では熱心に取り上げているところもありました。全国紙よりも地方紙の方が記事化しやすかったということも考えられるのではないか、ということでした。

 

さて、このように日本と韓国で報道件数に大きな差がありますが、なぜ日本では取り上げられにくかったのでしょうか。ラムザイヤー論文はアメリカで発表された英語論文ということで注目を集めましたが、ゲーム理論を用いた「性行為契約」であるという主張自体は新規性がなく、「慰安婦は商行為」という右翼的主張が拡散されている日本社会ではあまり注目されなかったのではないか、とまるこさんは結論づけています。

 

これに対して行われた議論としては、韓国メディアにもラムザイヤー擁護派について触れないなどの報道内容の取捨選択が行われていたことへの指摘や、注目を集めた理由の考察としてラムザイヤーのアメリカ人としての「看板」が大きかったのか、という意見も出ました。また、ハンギョレなどの進歩派メディアがあまり報道しなかったことへの驚きの声もありました。

 

・キボタネ証言を読むワークショップに関する報告

続いて3月度の参加イベント、キボタネ証言を読むワークショップに関する報告です。報告担当は茶々丸さんでした。イベントの内容の紹介についてはここでは省きますので、キボタネのホームページからご覧ください!(https://www.kibotane.org/post/kibotane-ws-for-beginners-証言を読む-vol-8-vol-9

 

みなさんは証言集を読んだことがありますか?例によって怠惰なきのこは大学生になるまで読んだことがありませんでした。初めて読んだ時の衝撃は忘れられません。日本軍性奴隷制度はカコのレキシではなく、一人の女性の人生のなかに影を落とす経験なのだと実感しました。証言集を音読することでその経験を自分自身の人生と繋ぐことができました。

 

特に注意しなければいけないのは、将校との疑似恋愛の記憶や「日本も悪いけれど、その手先をした朝鮮人はもっと憎い。〔中略〕韓国政府も私たちに補償してくれなければなりません。」という発言は理解の乏しい人が読むと誤解を生じさせる危険があるということです。構造的な問題性、すなわち植民地という状況や日本人男性と朝鮮人女性という権力関係を認識しなければこれらの証言の背後にあるサバイバーたちの声を聞くことはできません。

 

・読書会の記録−康誠賢『歴史否定とポスト真実の時代−日韓「合作」の「反日種族主義」現象』

今回の読書会担当は丸メガネさんでした。今回の文献は康誠賢先生の『歴史否定とポスト真実の時代−日韓「合作」の「反日種族主義」現象』です。

http://www.otsukishoten.co.jp/book/b547850.html

 

この本はきのこも大学のゼミで輪読しました。「ポスト真実の時代」においてヘイトと戦っていくにはどうしたらいいのか、という疑問を全体で議論しました。

 

表現の自由」の問題は表現の不自由展の話題がホットですが、とても深い問題です。「表現の自由」が別の誰かの「表現の自由」を奪っている可能性を常に考えなければいけません。また、歴史否定は決して「表現の自由」ではありません。

(表現の不自由展については6月のMTG記録も合わせてお読みください!)

 

krharujp.hatenablog.com

 

 

ガヤトリ・スピヴァクサバルタンの議論が思い出されます。サバルタンとは語る言葉を持たない人々のこと。「表現の自由」によって矮小化される被害は表現することの困難な人の声を完全に封じてしまします。

 

歴史を学問している学生としては、歴史否定が罷り通る社会は反知性主義でアカデミズムを否定する社会だと感じます。誰もがインターネットを駆使し、「歴史好き」を標榜できる時代だからこそ、 アカデミズムの真価が問われているのではないでしょうか。

 

・来月の予定について

来月の、といっても世の中もう7月です(3回目)

5月は全体で参加するイベントは設けず、メンバーのインタビューを進めようということになっていました。

 

それでは、また!!

ハル定例MTGの記録(2021年3月)

こんにちは!ハルブログ担当のまるこです。

今回は3月20日に行われた定例ミーティングの記録です。

 

ハルのルール

今回のミーティングで、ハルでは以下の2つのルールを決めました。

 

MTGに参加できなくても謝らない

②相手の発言を否定しない

 

このルールはメンバーの一人が提案してくれました。誰でも参加しやすく、意見を言い合える空間を作り上げることができたらうれしいですね☻

 

2/2「慰安婦」訴訟問題セミナー(山本晴太弁護士)

 

次に、2月2日に希望のタネ基金が開催してくれたセミナーについて、みんなで話し合いました。このセミナーでは、2021年1月8日に韓国・ソウル中央地方裁判所で出された、いわゆる「慰安婦」訴訟の判決が、いかに画期的な判決だったのかを弁護士・山本晴太さんから聞く、という内容でした。

判決内容について詳しく知らない方はこちら↓

mainichi.jp

 

3.「zainichi」問題

4.読書会 徐京植『分断を生きる―「在日」を超えて』(1997)